丸腰の非正規労働者が独立し国際交流を楽しむ。一匹狼で人生を欲望的に生きる一風変わった豊かな生活。

タイ人の笑顔に隠れた下心と空気を読む日本人@バンコク

バンコク到着翌日、昼ごはんを食べた後
カオサン通り周辺を散策していた。

太陽が昇っている間のカオサンには、
人混みや華やかさはなかった。

あまりにも夜の表情とは全く異なっていたため、
何か衝撃というか、唖然としてしまった。

どこか、”日本の飲み屋街”に通じるものがある。

 

そして表通りを歩いていると、
英語のできる中年タイ人から話し掛けられた。

「どの国の人間か?いつバンコクに来たのか?初めて来たのか?
仕事は何をしているのか?今後の旅の予定は?」

根掘り葉掘り、僕の素性を探ってくる。

「面倒だな」と思いながらも、
「暇つぶしには良い、また英会話の勉強にもなるな」
と思い、その中年タイ人と色々と会話していた。

 

どうやらこのオヤジさん、学校の先生をしているらしい。

でも、日本の学校の先生とは雰囲気が違う。

しかし「タイの学校の先生はこんな感じなんだろう」
と、半分信じることにした。

そして余計なお世話的に、
僕のその日1日のスケジュールを決めてくる。

「もしチケットを買うなら、
カオサンの旅行代理店は高いからやめとけ。
タイの寺院をまだ見てないなら○○寺院を見て、
次に旅行代理店へ行き、最後にここへ戻ってくる。
ハハハ、なかなか良いツアーだろ?
よし、俺がトゥクトゥクに安く交渉してやる」

僕としては特に、次の旅の目的地決めに
焦っては無かったため断るも、強引に攻めてくる。

そしてオヤジは、
勝手にトゥクトゥクへの交渉を行っていた。

「よかったな、100バーツで全て周ってくれるそうだ」

まぁたしかに安い。

結局、自分の意思よりも空気を大事にしてしまい、
トゥクトゥクに乗り込んだ。

日本人は世界でも特に、
”場の空気”を大事にする傾向が強い。

たしかにそれは、社会に調和をもたらす良い習慣だ。

しかし大事にし過ぎてしまうと、よからぬ事態をも招く。

特にここ大陸では。。。

 

 

やはりタイ人は陽気だ。

トゥクトゥクのドライバーともすぐに打ち解けた。

寺院をサクサクと見物した。

タイの寺は日本と違って、金色をふんだんに使っているため派手。

バンコクの街では、
小さな祀り物にも足を止めて拝む人の姿をよく見かけた。

基本的にタイ人はとても心神深く、
日本の仏教観とは一線を画す。

 

 

寺院を後にした僕たちはカオサンから離れた、
従業員4人ほどの旅行代理店に到着した。

早速、太った従業員に、
これからチェンマイかインドに
向かおうと思っていることを伝えた。

だが一応、その他のプランも色々聞いてみることにした。

 

スタッフは終始タイスマイルを浮かべているので、
相談しやすかった。

ただし、タイ人の英語のアクセントは、
かなりクセがあるので聞き取りにくい。

例えば「ask」は「アスク」でなく「アトゥク」であったりと。

 

僕が店の中にいる間、
トゥクトゥクのドライバーは店の外で待っていた。

決定までに時間が掛かりそうだったので、
「帰りは自分で戻るからもういいよ」
とドライバーに伝えるも、
「マイペンライ。あなたを待っておくよ」
と言う返事が返ってきた。

逆に途中、ドライバーは僕にビールを持ってきては、
笑顔で「ゆっくり決めていいから」と言ってきた。

僕自身、酒に弱い体質なのだが、
灼熱のバンコクを散策し、
喉が渇いていたので一気に飲み干した。

するとまたドライバーが、
笑顔でビールを持ってきて「マイペンライ」と言う。

 

今日はチケットの値段チェックだけして、
引き上げようと思っていた。

なぜなら他の旅行代理店のチケットと比較して、
ボラれてないか確かめる必要があったから。

しかし僕は完全に酔っ払ってしまい、
その店で適当にインド往復チケットを購入してしまった。

ジェットエアウェイズの
”デリーin、コルカタout”のオープンジョーチケット。

諸経費込18000バーツ、恐らくボラれているのではと思う。

目が回り始めていたため、正常な判断ができなかった。。。

 

 

旅行代理店には1時間半ほどいただろうか、
外はすでに暗くなっていた。

チケット購入後トゥクトゥクドライバーに合流すると、
ドライバーの友達と名乗る男が一人増えていた。

アルコールが回り、すっかり出来上がって、
テンション上がっている状態の僕。

「待っててくれたお礼に」
と彼らを夕食へ誘うと、二人ともニコニコ。

 

どっかのガードレール下屋台で、トムヤムクンを3人でつついた。

そして、またもやビールが出てきた。

時々席を外しては、吐いていた。

もう己の限界を超えていたが、
何食わぬ顔で彼らと交流を深めていた。

 

しばらくして彼らが、
「男のための夜の店へ行こう。
スペシャルな場所を知っているから」
と誘ってきた。

しかもなぜか”私のおごり”でという提案。

「3人合計で7000バーツ(約25000円)」と彼らは言う。

後で気づいたことだが、
ドライバーは終始”ニコニコ”していた訳でなく、
”ニタニタ”していたのだ。

 

だがその時僕は、もはや完全に正気を失っていた。

普段は石橋を叩いて渡る性格であるが、
アルコールが僕の気を変に大きくさせていた。

しかし貧乏旅行者だった僕は、
そんな無駄遣いできるような資金を
持っていなかったため断った。

「わかった。それでは見に行くだけ行ってみよう。
そして、カオサン通りへ戻ろう。」
と諦めずに攻めてきた。

「見に行くだけ」の意味が分からなかったが、
とりあえず宿に帰りたかったので、行くことにした。

 

 

現場に到着し店内に入ると、
窓ガラス越しにランジェリー姿の女性たちが、
紫色のネオンの怪しい雰囲気の中、30人ほど座っていた。

男たちのテンションは上がっていたが、
僕は「はい、帰ろ~」と言い、店の外に出た。

男たちはその店で遊べないことには納得したが、
完全に諦めることなく、妥協案を出してきた。

「カラオケなら安いからいいだろう」と。

あまりのしつこさに、こちらも折れてしまった。

しかしここが重要な判断の時だったことに、
後で気づくことになった。

 

 

再びトゥクトゥクを走らせ、
こじんまりとしたカラオケスナックに到着。

なかに入ると、完全に現地人ご用達の、
ローカルスナックであることがわかった。

飲んでいるタイ男たちと、気合いの入った挨拶を交わした。

ドライバー以外、
店内にいる誰も英語を話せない状況であった。

働いている女の子たちも、日本人を見慣れてないせいか、
珍しいモノを見るかのように僕を見ていた。

 

そんななか、女の子に囲まれ、
淡々とビールとつまみを味わい、カラオケを歌った。

途中、2度ほどトイレに吐きに行っただろうか。

やがて「もう限界・・・」と思い、勘定をお願いした。

そして、ママらしき女性が、
なんかボロボロの紙を持ってきた。

そこに手書きで会計が記されていた。
「total=5000バーツ」
日本円にして1万7千円ほど。

オーダーしたのは、瓶ビール3本にお菓子程度のおつまみ。

タイの安い物価からして、その金額あり得ない。

なにかの見間違いだろうと思い、
「ゼロが1つ多いよ」
とドライバーに突っ込んだ。

すると彼は「間違ってない」と言い張ってきた。

彼の表情に、それまでの”ニタニタ”はなかった。

「俺たち3人に、一人ずつ女の子がついただろう。
俺たちは彼女たちを買ったんだ。女を連れて帰っていいぞ。」

そのチャージ料が一人5000円。

勝手にドライバーがママに交渉していたのか、
それともただ、ドライバーとママがグルなのか、
よくわからなかった。

 

判断力が鈍っていた僕は、
ここでようやくハメられていることに気づいた。

遅い、気づくのが遅すぎた。

僕は「女を買った覚えはないぞ!」
と伝えたが、聞き入れられない。

ドライバーと僕のちょっとした口論が続いた。

店内全てのタイ人が、
ジ~っと僕の一挙手一投足を伺っているのがわかった。

 

「ふざけるな!」と言い、
1000バーツぐらい置いて、店を出ようと思った。

しかし、ここが完全にアウェーの地であることを思い出した。

「店内入口付近にいるタイ男は、かなり厳つい。
ここで暴れれば、完全に沈められるだろう。。。
タイ人はキレたら何するか分からないと、
聞いたこともあるし。。。」

そのように、僕は心の中で作戦を立てていた。

そして結果的に僕が出した答えは、
「生きててこそのお金だ」
ということ。

5000バーツをテーブルに置き、ひとり店を出た。

店内のみんなは、
静かに僕が店を出て行くのを、静かに見ていた。

アジア放浪2日目にして、洗礼を浴びた。

 

街灯が少ないため辺りは異様に暗かった。

「ここはどこなのだろう。」

タクシーを捕まえ、カオサンへと戻った。

 

カオサン通りは、昨夜到着した雰囲気と変わらなかった。

騒々しくゴチャゴチャした場所だが、
ここに再び戻って来れたことを嬉しく思った。

宿に戻り、ベットに身を投げた。

昨夜はうるさくて迷惑してた
隣から漏れるナイトクラブの爆音が、
この時はなぜか心地よく感じ、そして眠りに落ちた。

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戸茂 潤(とも じゅん)

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