丸腰の非正規労働者が独立し国際交流を楽しむ。一匹狼で人生を欲望的に生きる一風変わった豊かな生活。

台北駅近くのゲストハウスに潜む魔物@台湾

私が初めて訪れた中華圏の国、それは台湾である。
エバー航空でバリ島へ行く際の経由地であったため、
往復ともに1泊ずつ滞在した感じだ。

taipei

中華圏の民族というのは日本人に似ているため、
コミュニケーションする上で、どこか恥ずかしい。

私は日本の”人目を気にする文化”にどっぷりヤられている。
それが海外では完全に払拭されるのだが、
中華圏に限ってはどうも”別人”になれないようだ。

 

また興味深かったのは桃園国際空港に到着したとき。
到着ゲートやターミナルの外に出ても、
誰からも客引きの声を掛けられない。

それだけで人間の質というか、文化レベルの高さが計れる。
他のアジアの国は酷いところが多いだけに、感心してしまう。

中華圏の国への評価が、一気に上がってしまった。

 

バスで台北市街へ向かうためチケットカウンターで、
チケットを購入するとき英語で訊ねたところ、
日本語で返答されたときはびっくりした。

日本人にとって台湾は韓国と並んで、
一番旅行しやすい国ではないだろうか。

 

 

空港からバスで1時間後、台北駅に到着。
バイクの多さが、熱帯アジアにいることを実感させてくれる。

明朝バリ島へ出発することになっていたため、
台北駅に近い安宿を探すことにした。

台北駅すぐ南側にYMCAがあったが、
ユースホステルの割に値段が高いため諦めた。

 

”地球の歩き方”を持参していたため安宿を調べてみると、
駅近くに「ホタルホステル」というゲストハウスを見つけた。

駅から徒歩5分ほどであり、ロケーションは最高。
どうやら日本人御用達のゲストハウスらしい。

しかしゲストハウスと言っても、シングルで1泊1800円ほど。
台北の宿泊費用はアジアの中でも高く、
ドミトリーでも1000円以上はするようだ。

しかし物価自体は概ね安い。
ローカル食堂だと、1品200円ほどで食べれる。

 

ホタルホステルは雑居ビルの5階にあるため、
入り口を探すのにかなり手こずってしまった。

諦めかけた頃に運良く、美容院の横にある階段に
看板があるのを見つけた。

階段を上るが、これが真っ暗で傾斜が急なので、
上りにくいこと限りなし。

また途中の階は普通の住居であったため、
台湾人の生活が覗けて興味深かった。

狭さといい、香港あたりに来ているような気分。
この怪しい雰囲気、嫌いではない。

 

息を切らしながら4階に到着したところ、
目の前に頑丈な檻の扉が立ちはだかった。

その仰々しさ、まるで留置所のようだ。
ガチャガチャ開けようとするも、
鍵が掛かっていたため開かず。

もしかして、すでにクローズしてしまったのかと
不安が過ぎった。

 

しかしよく見ると、扉の横にインターホンがあった。
駄目もとでボタンを押すと、まさかの応答でビックリした。

お婆さんの声なので、中国語でないと通じないかもと思いつつ、
テンパりながら英語で「部屋はありますか?」と訊ねた。

中国語で喋られたら、全くのピンチだ。
ドキドキしながら、耳を澄ましていると、

「・・・・・・・・・あんた日本人?」

聞こえたのは、甲高い声の流暢な日本語だったので、
びっくりして思わず「イエス」と応えてしまった。(笑)

 

婆さんが5階から降りてき、扉を開けてくれた。
そして再び階段を上ると、また檻が存在した。

かなり頑丈なセキュリティだ。
そんなに台北は治安が悪いのかと思ってしまう。

お婆「はい、まずバックを置きなさい」

流暢な日本語で、なぜか高圧的に指図してくる。
そして頼んでもないのに、宿泊料の説明が始まった。

私が1泊だけ泊まることを告げると、
引き続いて、ゲストハウス内の規約を説明し出した。

・人の部屋には絶対に入らないこと。
・話す場合はこのロビーで話すこと。
・門限は0時、遅くなる時は前もって伝えておくこと。
・部屋の鍵は絶対になくさない事。
・洗濯がある場合は、○○時までに出すこと。
・ゲストハウス内は禁煙。
etc

というように、事細かい規約が求められた。
こんな厳格なゲストハウスは初めてである。

日本人以上の細かさを持っていたため、
「お婆さん、本当に台湾人?」と訊ねた。

婆さんは「陳さん」という列記とした台湾人であり、
日本へは行ったことないという。

日本語は、台湾が日本の占領下にあったとき、
覚えたらしい。

「なるほど」と思うとともに、ならばこの規律の厳しさは、
戦時中に日本軍が課したものを再現しているのか、と
思わないでもなかった。

「これが日本スタイルだ」みたいな感じで。(笑)

 

陳おばさん一人で宿を切り盛りしているため、
もはやこのゲストハウスは、
「陳おばさんの要塞」と言っても過言ではなかった。

 

バックパックを部屋に置き、出掛けようとすると、
陳おばさんが「座れ」と言う。

陳さん「はい、60ページ」

意味が分からず呆気に取られていると、

陳さん「地球の歩き方の60ページを開きなさい」

持っていたため開いてみると、
そこにはMRT(地下鉄)の路線図が載っていた。

そして「夜市はどこどこに行きなさい」とか、
親切にも観光どころをスラスラと説明し出した。
誰も頼んでいないのに。(笑)

しかしチェックイン時からの完全にシステマティックな
一連の流れには関心した。

陳おばさん、もはや人間の域を超えたロボットである。

 

 

また外出から帰って来て、シャワーを浴びる時、
陳おばさんが登場した。

なぜか「部屋からパンツ1枚で来なさい」との指示を受ける。

次に「着替えはここに置き、シャワーの栓はココ」といった
シャワー室の設備の説明が事細かく始まる。

最後に強調したのは「無駄使いしないように!」とのこと。

完全なお節介お母さんである。

 

 

結局バリ島からの帰りも、このゲストハウスを利用した。

23時に空港到着であったため、予約しておいたのだが、
0:30に宿到着にも関わらず、快く出迎えてくれた。

お節介婆さんだが、このときばかりは温もりを感じた。

 

そしてその日は、3時間ほど仮眠して5時には出る予定
だったので、前もって鍵を返し精算を行った。

そうすれば陳おばさんを起こさなくてすむので。

 

そして仮眠後、5時にこっそりと宿を出ようとすると、
陳おばさん登場。
さすが完璧主義、自分への妥協をも許さない。

「起きなくていいのに」と言いつつ、
その愛を受け止め、ゲストハウスを後にするのであった。

 

それにしても陳おばさん、いつ寝てるんだろうか。。。

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戸茂 潤(とも じゅん)

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