丸腰の非正規労働者が独立し国際交流を楽しむ。一匹狼で人生を欲望的に生きる一風変わった豊かな生活。

マレーシア人詐欺師と英語で大喧嘩@ジョホールバル

スリランカの旅にシンガポール航空を利用したため、
短時間であるがトランジットでシンガポールに入国した。
夜9時には再びチャンギ空港に戻って来なければならない。

昼にシンガポールの街で大好物のラクサを食べ、
シンガポールと国境を接する街である、
マレーシアのジョホールバルへ行ってみることにした。

MRTのウッドランズ駅で下車し、運賃システムが分からなかったが、
とりあえず国境行きのバスに乗った。

しばらくして国境に到着し、バスを降りようとしたところ、
乗客は皆、バスカードを機械にかざして降りているのを目にした。

そこでバスの運転手に
「カードとか持ってないんだけど、どうしたらいい?」
と訊ねたところ、

「はっ?それなら乗車時に言ってもらわないと困るよ!」
と怒られてしまった。

果てどうしたものか、と膠着していると、

「もういい。降りたまえ!」
と無賃乗車を許してくれた。

それを見ていたマレーシア人女性が私に話しかけて来たので、
事の顛末を説明すると、彼女は腹を抱えて笑っていた。

マレーシア人の”笑いのツボ”が分からない。。。

 

シンガポールの出国審査を済ませ、
続いてマレーシアの入国審査である。

入国カードをテーブルで記入していると、
2人の中華系のおばちゃんが入国カードの記入要領が
分からなかったらしく、私に色々訊ねてきた。

家庭教師のように、一つ一つ教えて上げていたが、
終いには2人とも私にパスポートと入国カードを渡し、
「全部記入してくれ」とお願いしてきた。

図々しさ半端なかったが、2人とも憎めないおばちゃん
だったので、自分のそっちのけで記入してあげた。

仕上がって彼女らに渡すと、当たり前のように
さっさとイミグレーションに行ってしまった。

豪快というか、その無神経さに呆気に取られてしまった。

 

その後、私も無事入国し、シティースクエア内を歩いていると、
先ほどのおばちゃん2人とバッタリ出くわした。

彼女らはカフェにいたため、
「ほら来なさい。さっきの御礼で、食事を奢ってあげるよ~」
と元気よく誘われたが丁重に断り、シティースクエアを後にした。

ちゃんと感謝の気持ちを持っていたのか、と変に感心した。

 

 

その後Jalan Segget辺りを散策していると、
一人のマレーシア人おやじに声を掛けられた。

彼はシンガポールで英語の教師をしており、
出張でジョホールバルへ来ているという。

私が日本人であることが分かると、
日本にも出張経験があると言っていた。

どこか胡散臭かったが、英会話の勉強になると思い、
拙い英語で色々と会話を続けた。

ジョホールバルに初めて来たことも含めて。

 

 

 

すると彼は、
「ジョホールバルの観光はタクシーが便利だ。
よし、私がタクシーの運転手に観光ルートを説明してやる。
彼らはマレー語しか理解できないからな」
と言う。

「いや、あまり時間ないからいいよ。
もうちょっとして、シンガポールに戻るから」
と私は断った。

しかし彼はなぜか諦めない。

彼「時間がないならば、ジョホールバルスタジアムを観て、
ランキンバスターミナルへ行くというのはどうだ。
所要時間20分ほどだ。
そこからは国境までのバスが頻繁に出ている。」

サッカーファンとして、あの日本代表がW杯初出場を決めた、
ジョホールバルスタジアムには行ってみたかった。

なぜこんなにしつこく親切をしようとしているのか、
理解できなかったが、悪くない提案だったので呑んだ。

 

一緒に歩いてタクシーを拾いに行った。

白いイスラム服に身を包んだドライバーのタクシーを捕まえ、
マレー語で交渉していた。

そして後部座席のドアを開け、
「交渉成立だ。さぁ乗っていいぞ!」
とお金の要求なしで、私に乗車を促した。

私はおやじに礼を言い、タクシーの後部座席へと乗り込んだ。
すると私に続き、なぜかおやじも後部差席に乗り込んできた。

「あれっあなたも一緒に行くの?話が違うでしょ」
と拙い英語で私は突っ込んだ。

「いや私もランキンバスターミナルへ行くとこだったのだ。」
と彼は言い、タクシーが出発してしまった。

 

なんか納得行かなかったが、「結局このおやじは無料で、
バスターミナルへ行きたかったのか」と心の中で思った。

と同時に、「まぁそれぐらいなら大目に見よう」と開き直った。

 

するとおやじは携帯電話を取り出し、ブツブツと話し出した。
マレー語で理解できなかったが、誰かを落ち着かせているようだ。

それと同時にドライバーがルームミラーで
おやじをチラチラ仕切りに見ているのが気になった。
それがおやじと目で意思疎通を計っているようにも見えた。

「いや考えすぎだ、旅を楽しもう」と心を切り替えた。

 

一度電話を終えると、彼は「妻と電話してたんだ」と言った。

そして再び携帯を出し、淡々と話し出した。
またドライバーがチラチラおやじを見ている。

しかも携帯で話しているにしては、
一方的な話口調のため不自然だった。

その時すでにタクシーは、第一の目的地である
ジョホールバルスタジアムの前に到着していた。

なおもおやじは物々と話している。
私は聞き耳を立てていたが、相手側の声が漏れてこない。

そこで私は一気に悟った。
「電話はダミーだ!」

おやじは電話するふりをして、
ドライバーに私を騙す作戦を伝えていたのだ!

 

「誰と話しているんだ?!」
と私は、”通話中”ということになっているおやじに質問した。

おやじはビックリし、
「言っただろ。妻と話してるんだ!」
と答える。

そして私はおやじから携帯を取り上げ確かめようとしたが、
おやじは断固それを拒否する。

そして後部座席で押し問答になった。

「電話の相手は誰もいないから、渡せないんだろう!
この嘘つき野郎!さぁどうなんだ!!」
と私は問い詰めた。

ルームミラー越しのドライバーの目は驚いており、
偉いことになってしまったとの表情を浮かべていた。

 

おやじはプルプルしながら顔を真っ赤にし、
「タクシーから出て行け!!」
と私に言葉を吐いた。

私は「この嘘つきめが!!」と釘を刺し、
タクシーを手荒く降り、ドアを「ダン!」と攻撃的に閉め、
なおも窓越しにおやじを目で威嚇し続けた。

タクシーは逃げるように去って行った。
そのタクシーに向かって、高らかと中指を立てた。

 

タクシーが視野から消え去ると、すぐに冷静さを取り戻し、
そして自分がアウェーの地にいることを思い出した。

ヤバい、ここは右も左も分からない場所。
もしかしたら逆襲に来るかもしれない。

武器でも持って来られたら、一溜りもない。

そこでさっきまでの勢いをよそに、
ジョホールバルスタジアムの裏側にしばし身を潜めた。

その後しばらくして周囲の人に聞き込みをしながら、
ランキンバスターミナルへと向かった。

皆あまり英語を理解できなく苦戦したが、
無事ターミナルに到着し、シンガポールへ戻る事ができた。

 

 

今回、人生で初めて大声で相手を威嚇する喧嘩をした。

普段は熱くなってもグッとコラえ、冷静に対応する質である。
それが日本人の美徳だからか、性格なのかは分からない。

感情的に怒りを表すという初体験をしたことで、
1つまた、知らない自分を発見した。

しかも英語で喧嘩したのには、自分でもビックリした。
普段スピーキングはモゴモゴなのにも関わらず。

恐らく、海外映画の見過ぎであろう。(笑)

海外にいると、自分の未知な部分にどんどん出会える。
これだから、海外一人旅はやめられない。

 

皮肉にも「ジョホールバル・スタジアムの歓喜」ではなく、
「ジョホールバル・スタジアムの叫び」として、
私にとって思い出深い場所となってしまった。

 

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戸茂 潤(とも じゅん)

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