丸腰の非正規労働者が独立し国際交流を楽しむ。一匹狼で人生を欲望的に生きる一風変わった豊かな生活。

丸2日ボートで過ごすアジアの秘境ラオスの旅

早朝5時に目覚めたため、日が昇る前の町を散歩する。
今いるのはタイとの国境の町、ラオスのフエサイだ。

どうもこういう文明の遅れた町に居ると、勝手に早起きしてしまう。
日本では夜明け前に起きることなんて滅多にない。
”ストレス社会”と”早起き”には、何か関係性があると思ってしまう。

boat

この小さな町からは、世界遺産の街ルアンパバーンまでの
スローボートが出ている。

メコン川を丸2日かけて下るという、秘境ならではの交通手段だ。
この度、このスローボートに挑戦することにした。

 

スローボートが何時に出るか分からなかったため、
散歩がてらに船着場に行ってみたところ、
9時過ぎ頃に出発するという情報を得た。

 

宿で荷物をまとめ、タイで出会った相棒のシンとともに
再び8時30頃船着場へと出向いたが、
我々以外ツーリストは誰もいない。

近くの商店で朝食を食べ時間を潰した後、
チケット(約2000円)を購入し、一番手に船に乗り込んだ。

ボートは3人掛けのベンチが横2列×縦15列という具合で、
予想していたよりも大きな箱であった。

しかし全て木でできているため、豪華さは無い。

そう言えば、チケット購入時にパスポートのチェックがあり、
係員は名前や国籍等のメモを取っていた。

恐らく、沈没や山賊に襲われるリスクがあるため、
乗客名簿を作成いていたのであろう。

 

どうやらベンチで寝ながらの船旅が出来そうだと思っていると、
9時半頃から徐々に人が集まってきた。

そのほとんどが欧米人だ。
フエサイでは一度も見かけなかっただけに、
彼らはどこに潜んでいたのだろうと不思議な気持ちになった。

尚もどんどんどんどんどんどん、人が集まってくる。

終いには、沈没するのではないかというほどの
満員御礼となってしまった。

寝ながらクルージングの夢は、音を立てて崩れ去った。

 

 

結局10時頃出発し、1日目のメコン川クルーズが始まった。
まずは中継の町である、パクベンを目指す。
そこで一泊し、翌日ルアンパバーンへ下るというスケジュール。

 

フエサイはメコン川の割と上流に位置するが、川の色は茶色。
日本の川とは異なり、ゆーっくりと流れているからだろう。

緑で覆われた自然の中を、濁った川が貫いている。
そして特筆すべきものが、空の青さだ。

空気がクリーンで異常に澄んでいるためか
コントラストが強く、空が真っ青である。

空の青さと自然の緑の際がハッきりとしており、聡明である。
かつてこれまでの自然の美しさを味わったことはない。

 

乗船中、目にすることができるのはこの3色と、乗客のみ。
自然観察と人間観察が娯楽という訳だ。

欧米人たちも大自然の中のクルーズにテンションが上がり、
歌などを披露していた。

船旅もなかなかいいものだ。

 

 

そして2,3時間後・・・・・

退屈極まりない。

 

どんなに感動的な大自然も2,3時間も見ていると、
当たり前になってしまい飽きてしまう。

「美人は3日で飽きる」という言葉が頭をよぎる。

あんなにテンションの高かった欧米人たちも、
もはや魂を吸い取られたかのように萎えている。

 

しかもベンチは木製で作られているため硬く、
背もたれも直角のため身体が痛くリラックスできない。

娯楽がなくなった今、もはや思考で遊ぶしかない。
あれこれ色々考える。

恐らく他の乗客たちもやることは同じであっただろう。

唯一の楽しみは村人らしき人が漁をしていると、
皆で「お~い」と笑顔で手を振ることぐらいだ。

陸が恋しい。

 

 

6時間後・・・・・・・

生まれてこのかた、ずっとこの船に乗っている感覚。
過去の出来事は幻想であり、未来もずっとこの船で過ごす。

考えることのネタはもうなく、完全な思考停止状態。
もうどうでもいい感じだ。

乗客皆、魂の抜け殻状態で目が死んでいる。
唯一ラオス人だけは、変わらず正気を保っている。

先進国の人間たちは、
刺激ジャンキーとなってしまっていることに気づいた。
刺激こそが生きる原動力なのである。

 

 

日没と同時に、中継地点のパクベンに到着した。
驚くほど小さな町だ。

乗船途中、あれだけ欲していた陸であったが、
堕落人と化してしまっていたため、陸に上がるのが面倒であった。

子供たちが頼んでも無いのに、バッグを船から陸に上げている。
そしてツーリストにチップを要求している。

それを尻目に陸へ上がり、一晩のゲストハウスを探すことに。

やはり陸は良い。
何が良いかと言うと、”自由”であることだ。

自分の意思で行きたいところへ行ける、この有難さ。
刑務所を出た囚人たちも、このような感動を覚えるのだろう。

 

適当にゲストハウスにチェックインし、適当に夕食を食べ、
ベッドに横になれる幸せを堪能した。

部屋でくつろいでいるとドアがノックされるので出てみると、
ニヤニヤしたラオス人が立っている。

ラオス人「気持ちよく滞在できてますか~?」

私「まあね」

ラオス人「マリファナとかはいかがですか~?」

私「間に合ってるから、いらない」

ラオス人「そうですか。またなんなりとお申し付け下さい」

こんなやりとりが3回ほどあった。
さすが秘境の町だ。

 

蚊帳付のベッドで読書していると、急に停電となったため、
その勢いで就寝した。

 

 

翌朝、早起きし近所を散策した。
ちょっと町外れに歩くと、そこでは原始的な生活が営まれていた。

昨夜は気づかなかったが、まさにこの町は秘境だ

日本で言うと弥生時代といった感じ。
電気など無い、文明の利器に頼らない生活スタイル。

高床式倉庫みたいな住居を構え、
表では豚や鶏が放し飼いにされている。

タイムスリップした気分で、かなり興味深かった。

 

彼らに挨拶すると、変人扱いせず笑顔で返してくる。
この心の繋がりが、やけに嬉しかった。

 

 

ゲストハウスで用意してくれたランチ用のサントウィッチを携え、
ルアンパバーンに向け朝9時に
再びあのスローボートに乗り込むのであった。

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戸茂 潤(とも じゅん)

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