独裁者スターリンの故郷ゴリへ観光@グルジア
第2次世界大戦中、鉄の睾丸を持つ男として名を馳せた、
旧ソビエト連邦の独裁者スターリン。
人間とは思えないような様々な粛清を行い、
恐怖政治で旧ソ連を率いた人間として巷では有名であろう。
スターリンが行ったことについての情報は、
巷にごまんと溢れているため、ここでは割愛する。
ただ私は”自己実現家”という立場から、
彼には興味を抱いてしまう。
トビリシ市内西側にメトロ駅に隣接する形で、
ディドゥベ・バスターミナルがある。
少々カオスな感じの不案内なバスターミナルであったため、
おじさんを掴まえて「ゴリに行きたい」と言うと、
親切にバスへ案内してくれた。
事前にチケットを買う必要があり、恐らく200円ほどであった。
中型バスが超満員になったところで、ゴリに向けて出発。
本当にゴリへ向かっているか多少不安であったが、まぁ気にしない。
ゴリまでの道路は綺麗に舗装されており、渋滞にも無縁で快適。
また特筆すべきは、道中窓の外に見える風景の素晴らしさ。
映画サウンドオブミュージックに出てくるような大自然が広がっていた。
そうこうしているうち、1時間半ほどで無事にゴリの町へ到着した。
かなり小さな、これまた洗練されていない味のある町である。
私が好む”着飾っていない町”のため、一瞬で気に入った。
郊外には枯れ木の中、共産主義独特の冷たい公団が立ち並び、
私がイメージしていた”旧ソ連”という感じを味わえる。
その公団内を歩いたのだが、その冷たさに身震いしてしまった。
私は町の中心にある”スターリン博物館”へと歩を進めた。
到着しエントランスのドアを開けると、警備員が私に近づいてきた。
な、なんと休館日なので中に入ることができないとの事だ。
がっかりしたがそれもそのはず、本日は1月2日である。
鉄の睾丸を持つ男も正月休みが必要らしい。(笑)
博物館の外にはスターリンが使っていた専用車両と、
彼が育った家のレプリカが置いてあった。
そして博物館正面には、堂々とスターリン石像が建っていた。
ソ連時代には国中の至る所にこの石像が建てられていたが、
今ではこの一体のみしか残っていない。
なんかパワーを感じてしまう。
博物館に入れなかった腹いせに、彼とのツーショットを頂いた。
博物館を後にすると、絵になる丘の上の教会が遠くに見えたので、
住宅地を突っ切って、行ってみることにした。
住宅地も閑散として哀愁が漂っている。
途中、元気にサッカーをしているチビッ子たちがいたため、
一緒にサッカーをして遊んだ。
スポーツは言葉なしで遊べるから、素晴らしい。
丘の上の教会に辿り着いた。
予想以上に哀愁漂った絵になる、かわいい教会である。
しかも丘から見える風景が素晴らしい。
奥には雪を被ったコーカサス山脈が連なり、
眼下にはゴリの町が広がっている。
ここには墓地も併設されているが、さぞ御霊も喜んでいることだろう。
グルジアの教会はそれぞれが異なっており、
個性的かつ絵になるので、つい興味深く見てしまう。
ゴリでも教会を訪ねていたが、とある教会では、
入り口に屯していたオバちゃん達に、
なんかグルジア語で話しかけられた。
よくよく聴くと、「お金」と言っているようだった。
最初教会へ入るのに入場料がいるかと思ったが、
別の女性が出て来て、「外国人にお金と言わないの!」
みたいなことを言ってたので、そこで気づいた。
彼女らは、ただのホームレスであったのだ。
悲壮感のなく幸せな感じであったので、
ホームレスだとは気づかなかった。
グルジア国民の幸福度は高い。
私は彼女たちに
「お金を上げるから、写真を撮らせてください」
とジェスチャーを交えて言ううと、快くOKしてくれた。
しかもほんの小銭しか上げなかったのだが、
彼女たちは大いに感謝してくれた。
なんか元気を貰ってしまった。
恐るべし、グルジア。。
ゴリ観光を終えトビリシに戻るべく、バスターミナルでバスを待っていると、
1人の若い青年が話しかけてきた。
グルジア語もしくはロシア語だったので、よく分からなかったが、
私は「トビリシに行きたい」と連呼した。
彼は英語がまるで駄目だったらしく、
少し英語の分かる別の青年を連れて来た。
どうやら最初の青年は白タクのドライバーらしく、
お客を探していたらしい。
そして多少英語の分かる青年は、すでに掴まえているお客。
いろいろ話すと、「バスより安い運賃でトビリシまで行く」
ということだったので、白タクに乗るという冒険を選択した。
ゴリを抜けて、高速道路を突っ走っていると、
途中で1人のお客を拾った。
この男はグルジア人には珍しく陽気な男だったので、
彼と色々コミュニケーションを取った。
お互い話す言語は違えど、なぜか通じ合っていたのが印象的だ。
やはり現地人とのコミュニケーションは、ひと際楽しさを覚える。
車中でワイワイやってるうちに、
やがてディドゥベ・バスターミナルへ到着した。
アジアで有りがちな、到着して値を上げるようなこともなく、明朗会計。
速いし、安いし、面白かったし、かなりお得な旅であった。
この記事へのコメントはありません。