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死を覚悟した侍&戦場と化した駅で裏拳炸裂@インド

ゆっくり静養と瞑想のできたブッダガヤを離れる時が来た。
ガヤ駅から夜9:30発の夜行寝台列車に乗り、
東インドの大都市コルカタへ向かう。

コルカタは東南アジアから一番近くに位置している。
そのため一般的に日本人旅行者は、
インド旅において最初にコルカタを訪れるケースが多い。

また、「インドの旅においてデリーから入るのは自殺行為だ」
と旅人の間で囁かれている理由もあるだろう。
実際デリーから旅を始めた私は、その意味が理解できる。
関連記事:嘘つきインド人のストーカーレベルがヤバい

samurai

 

朝から宿のドミトリールームで旅の支度をしていると、
1人の日本人おじさんがチェックインしてきた。

歳は60才であり、日本では仏壇店を経営しているらしい。
そのためか、仏教の聖地ブッダガヤに来るのは長年の夢であったと。

今まで来れなかったのは、パニック障害を患っており、
飛行機や特にインドのような人混みの列車やバスには耐えられないから。

しかし、死を覚悟して薬片手にブッダガヤ行きを決意したとの事だ。

 

全くその姿勢に感服した。
彼の中に死を恐れないというサムライの魂を見た。

年配の日本人で、死ぬまでに一度はインドを訪れたいと言う人は意外といる。
インドは世界のなかでも、インドしかない世界観を持っている。

私もインドに対し、そのような気持ちを抱いていたから理解できる。
俗に言う「インドに呼ばれる」というやつかもしれない。

 

 

夕方になり、ブッダガヤを15ルピーという料金の乗り合いバスで出発した。
同じ宿にいた小心者の”ダイくん”という日本人大学生も着いて来ている。
どうも彼は一人で行動できないタイプのようだ。

40分ほど走っただろうか、何事も無くガヤ駅に到着した。
ガヤ駅と言えば、中国人女性イッチのことを思い出した。

 

チケットはブッダガヤのツーリストオフィスで事前購入しておいた。
21:30発まで、まだ4時間ほどある。

日本では、時間ギリギリの生活スタイルなだけに、
こんな時間に余裕をもって行動する自分が奇妙でもある。

まぁインドでは「時間通り」という概念がないために、
何が起こるか分からないという要素があるからだろうが。

 

夕食を済ませ、ガヤ駅前のロータリーに座り時間を潰す。
インドでは人間観察をしているだけで面白い。

あっという間に時間が過ぎ、時刻は21時。
電光掲示板を見に行ったところ、なんとコルカタ行に「delay」の文字。

きたきたインド時間。
インドでは列車の到着遅れは日常茶飯事だ。

約束の時間というものはあってないもの。
人々はそれを「インド時間」としばし揶揄する。

 

しかしこの案内坂が設置されている駅舎の中は、
足の踏み場がない状態で歩きにくい。

なぜなら人々がそこで寝ているためだ。
列車を待っている客なのか、ホームレスなのか判別できない。

 

本来なら、いつ来るか分からない列車の動向確認のため、
電光案内板の見える駅舎の中で待ちたいところ。

しかし、待つスペースもなく、臭いもキツかったため、
再び外で時間を潰すこととなった。

 

 

やがてアナウンスが流れ、案内板にコルカタ行列車の到着時間と
到着ホームナンバーが示された。

時刻は23:30。
最悪運行停止も考えられた中、2時間のdelayなので、まぁ優秀な方だ。

ダイくんとともに、指定されたホームで待っていると、
重厚で異常に長い列車がホームに入って来た。

 

ここからが戦争だ。
効率悪いことに列車が到着して、
それから自分の乗るべき車輛を見つけなくてはならない。

インドの列車は等級ごとに車輛が区切られているため、
間違った等級の車輛に乗ってしまったら最悪となる。

 

所々に立っている駅員に我々の乗るべき車輛を尋ねるものの、
「あっちだ」「こっちだ」とたらい回しされ、右往左往するばかり。

すでに3分ほど経過しているが、なかなか見つけることができない。

しかもホームでは皆がそいう状態のため、大運動会と化しており、
また背中には10キロのバックパックがるため、思うように動けない。

 

やがて出発のアナウンスが流れる。
さらにホームは激しさを増し、叫び声があちこちにこだまする。
身体が激しくぶつかり合う。

でもおおよその場所には来ているはずだ。

エキサイトしている駅員に、ダメ押しで私は尋ねた。
駅員は「あれだ!」と腕を大きく振り、乗るべき車輛を指差した。

その時!!

「あっ!!」

駅員の後ろに立っていたダイくんの顔面に、駅員の裏拳がクルティカルヒット!
そして、ダイくんの生きる必需品である”メガネ”が、吹っ飛んでいった!

 

「車輛は分かった、おいダイくん乗るぞ!!」
出発寸前なのにもたついているダイくんに、大声で叫ぶ。

人波が押し寄せる中で、メガネが見つけきれなく焦っているようだ。
私も戻り、一緒に探す。

彼はようやくフレームの変形したメガネを見つけ出し、
2人して列車に飛び乗った。

 

まさに危機一髪であった。
額から汗が滴り落ちる。

ダイくんに顔は大丈夫かと聞いたところ、

「あの駅員、ぶっ殺す!!」

元来は弱気の彼だが、この時ばかりは強気な一面を覗かせていた。

 

「いやいやダイくん、あなたの立ち位置がおかしかったでしょ」
とは口が裂けても言えなかった。(笑)

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戸茂 潤(とも じゅん)

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